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群馬大学大学院医学系研究科 脳神経発達統御学講座
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■神経疾患とドレブリン機能
興奮性シナプスのアクチン結合タンパク−その動態と機能−
スパインのアクチン細胞骨格は興奮性シナプス形成を制御する
蛋白レベルからみた神経シナプスの発達と異常
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ドレブリン
ドレブリンは神経系の代表的なアクチン結合蛋白で、我々のグループにより発見された蛋白です。興味のある方は是非ご一読ください。
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シナプスの形態形成

 樹状突起スパインの形態形成過程は、神経回路形成における神経細胞間の結合の成熟過程の重要な鍵を握るばかりでなく、成熟後のシナプス可塑性の基本的メカニズムとしても働いていると考えられ、その解明が現在注目を浴びている。シナプス後部は最初フィロポディアに作られ、それがスパインに変化すると考えられているが、従来のシナプス後部肥厚関連蛋白に関連した研究では、このスパイン形成初期の変化を見いだすことが出来ていない。 スパインアクチン細胞骨格は電顕的に確認されるスパイン内唯一の細胞骨格であり、スパインの形態形成に重要な役割を果たしていると考えられる。我々は、成熟スパインのアクチン細胞骨格は、ドレブリン(このタンパクは我々のグループが世界に先駆けて発見し命名したタンパクである)が結合しているため、樹状突起幹とは非常に異なる性質を持っている可能性を明らかにしてきた。 我々は初代培養神経細胞にGFP-ドレブリンキメラ蛋白を遺伝子導入することにより樹状突起スパインの形態変化を起こさせることに成功しました(J. Neurosci. 19:3918-3925, 1999)。 我々の最近の研究により、シナプス後部アクチンの特殊化がスパイン形成の中心的制御機構であることが解ってきた。今後はこのアクチンの特殊化を制御するメカニズムを解明したいと考えている。

シナプス機能成熟の制御機構

脳発達は、発生のプログラムに従って大まかな神経回路ができる前期と、神経活動依存的制御によって回路の修正が行われる後期とに分けられる。前期から後期への移行は、シナプスの成熟に伴って起こる。従って、シナプス成熟を開始する制御信号は高次脳機能発達にとって重要な鍵と考えられるが、その実体は依然不明である。 シナプスの成熟に並行して、伝達物質受容体、イオンチャンネル、細胞内情報伝達分子、細胞接着因子、細胞骨格等のシナプス機能素子蛋白群の組み換えが、極めて短期間に起こることが示唆されている。本研究ではシナプス機能素子蛋白動態の詳細を多光子励起レーザー顕微鏡を用いて明らかにし、また、ミュータント蛋白を遺伝子工学的に発現させた神経細胞を解析することによりシナプス機能素子蛋白の分子間相互作用を明からにする。次に、それらの電気活動依存性について解析する。これらの研究成果をふまえて、シナプスの成熟がいつ、どのような信号で開始するのかを明らかにする。 本研究成果は将来的には脳発達の基本原理解明に結びつくと考えられる。また、シナプス成熟をもたらす制御信号に関する知見は、精神・神経疾患の早期診断、予防、治療法開発に応用できる可能性もある。

海馬局所回路の制御機構(記憶と情動)

人間は同じ情報に接してもよく覚える時とそうでない時があるが、それは、脳には状況に応じて情報を選択する機能があるからである。我々は記憶にかかわる海馬内の情報処理機構を調べる目的で、これまでラット海馬スライスで光学的測定法と電気生理学的手法を併用してCA3−CA1での興奮伝播経路を調べてきた。そして、海馬のlamella構造には、これまで無視されていたCA2領域を介する経路が存在することを明らかにした。CA2領域を介するCA3−CA1間の経路については、アデノシンA1受容体による興奮抑制が特異的に強い。また海馬外から特異的な入力を受けている。さらにSchaffer側枝を介するCA3−CA1直接経路とは走行の角度が異なるなどのことがわかってきた。従って、CA2領域は海馬ニューロンネットワークの機能制御に重要な役割を果たしていると考えられる。そこで我々は第二の研究テーマとして海馬内での信号情報処理が状態や物質によりダイナミックに切り替えられる様子をこの目でとらえ、そのシナプスメカニズムをパッチ・クランプ法で明らかにしていくことを目指している。また海馬内の情報処理の制御機構が、生後発達に伴ってどのように変化していくのか、それを決定する因子は何かも追求したいと考えている。

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