Soluble oligomers of amyloid Beta protein facilitate hippocampal long-term depression by disrupting neuronal glutamate uptake.

Li S, Hong S, Shepardson NE, Walsh DM, Shankar GM, Selkoe D.

Neuron. 2009 Jun 25;62(6):788-801

アルツハイマー病において、amyloid-β protein (Aβ)は原因物質の一つであるが、痴呆の程度は不可溶なアミロイド斑より、その前の可溶なAβタンパク量に相関することが知られている。実験的には可溶なAβオリゴマーが、シナプス可塑性である長期増強 (long-term potentiation, LTP)を抑制し、長期抑圧 (long-term depression)を亢進することが報告されている。本論文は、可溶Aβオリゴマーがマウス海馬LTDを亢進させるメカニズムを検討し、以下のような結果を報告している。

?  弱い低頻度刺激 (300発1Hz LFS)では、mGluR依存性LTDが亢進。

?  強い低頻度刺激 (900発1Hz LFS)では、NMDAR依存性LTDが亢進(APVが効きにくくなる)。

?  可溶Aβオリゴマーは、グリアではなく神経細胞にあるグルタミン酸トランスポーターを阻害して、グルタミン酸の除去を低下させ、(シナプス部位ではなく、シナプス周囲) NR2B活性を亢進させる。

?   可溶Aβオリゴマーの可塑性に対する効果(LTP↓、LTD↑)は、グルタミン酸トランスポーター阻害剤TBOAで再現される。

?   可溶AβオリゴマーによるNMDAR依存性LTD亢進は、細胞外カルシウム、カルシニューリン、glycogen synthase kinase-3 (GSK3)の活性が必要である。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0896627309003870