Dopamine neurons modulate neural encoding and expression of depression-related behaviour.

Tye KM, Mirzabekov JJ, Warden MR, Ferenczi EA, Tsai HC, Finkelstein J, Kim SY, Adhikari A, Thompson KR, Andalman AS, Gunaydin LA, Witten IB, Deisseroth K.

Nature. 2013 Jan 24;493(7433):537-41.

http://www.nature.com/nature/journal/v493/n7433/full/nature11740.html

Ventral tegmental area (腹側被蓋野、VTA)のドーパミン神経は、報酬を得るための行動の動機付けに関与し、とくにNucleus Accumbens (側坐核、NAc)へのドーパミン性入力が特に重要であると考えられている。筆者らはVTAドーパミン細胞が、うつにおけるうつ回避行動(tail suspension test、forced swimming testにおける体動)もコードして、VTAドーパミン細胞活動の低下がこれらの回避行動を低下させ、anhedonia(無快楽症)を誘発するという仮説を立て、optogenetic toolを用いてVTAの活動をコントロールしてうつ回避行動とanhedoniaが変化するか検討した。

VTAドーパミン神経に、光照射により過分極を誘発するhalorhodopsinを発現させた正常マウスでは、VTA光照射によって、?tail suspension時の体動が減少し、?sucrose preference testにおいてanhedoniaが観察された。逆に、光照射によって脱分極を誘発するchannelrhodopsinをVTAドーパミン細胞に発現したマウスにchronic mild stressによってうつを誘発させたあと、tail suspension test時にVTA光照射すると、無動が改善し、sucrose preference test時のanhedoniaが改善した。また、光照射によるうつ症状改善は、D1 D2アンタゴニストをNAcに局所投与すると消失することから、症状改善がVTA→NAcへのドーパミン投射系が活性化されたことによることが示唆された。

さらに著者らは、forced swimming test時の回避行動をコードしている神経がNAcに存在するか、回避行動中のNAc神経活動をモニターすることによって検討したところ、一部のNAc神経細胞が回避行動(後ろ足のキック)に先行して発火することを発見した。