Autistic-like social behaviour in Shank2-mutant mice improved by restoring NMDA receptor function

Hyejung Won, Hye-Ryeon Lee3, Heon Yung Gee, Won Mah, Jae-Ick Kim, Jiseok Lee, Seungmin Ha,

Changuk Chung, Eun Suk Jung, Yi Sul Cho, Sae-Geun Park, Jung-Soo Lee, Kyungmin Lee, Daesoo Kim, Yong Chul Bae, Bong-Kiun Kaang, Min Goo Lee & Eunjoon Kim

Nature 486, pp.261?265 (14 June 2012)

http://www.nature.com/nature/journal/v486/n7402/full/nature11208.html

http://www.nature.com/nature/journal/v486/n7402/fp/nature11208_ja.html

(日本語アブスト付き)

自閉症(ASD)は、対人関係障害を中心とした発達障害であり、様々な遺伝子異常が報告されている。Shank2(別名ProSAP1)は、興奮性シナプスに存在する裏打ちタンパク質であるが、最近ヒト SHANK2 遺伝子の変異がASDと知的障害に関連することが最近明らかにされた。そこで著者らは、ヒト SHANK2 遺伝子のASD関連微小欠失と同一の変異を持つ Shank2 変異( Shank2 −/− )マウスを作成してフェノタイプを解析したところ、マウス同士のコンタクト減少、ultrasonic vocalizationによるコミュニケーションの減少、および跳躍の繰り返しなどの、ASD様行動を示すことを明らかにした。これらのマウスでは、NMDA受容体機能の大幅な低下が見られるので、NMDA受容体のparital agonist、D-シクロセリンを投与すると、 Shank2 −/− マウスのNMDAR機能が正常化し、コミュニケーション障害が改善された。また、代謝型グルタミン酸受容体5(mGluR5)のアロステリック調節因子(mGluR5の活性化を介してNMDAR機能を高める)を Shank2 −/− マウスに投与しても、NMDAR機能が正常化され、コミュニケーション障害が改善された。これらの結果は、NMDAR機能の低下が Shank2 −/− マウスのASD様表現型の発症に寄与している可能性があり、NMDARのmGluRによる調節がASDの治療戦略になりうることを示唆している。