Disrupted Homer scaffolds mediate abnormal mGluR5 function in a mouse model of fragile X syndrome

Jennifer A Ronesi, Katie A Collins, Seth A Hays, Nien-Pei Tsai, Weirui Guo, Shari G Birnbaum, Jia-Hua Hu, Paul F Worley, Jay R Gibson & Kimberly M Huber

Nature Neuroscience vol.15(3) pp431-440, 2012

http://www.nature.com/neuro/journal/v15/n3/full/nn.3033.html

遺伝性自閉症の一つFragile X syndrome (脆弱X症候群)の患者では、自閉の他に、知的障害、知覚過敏、不安、多動等の症状を示すが、FMR1(fragile X mental retardation protein)遺伝子翻訳がなされないことが原因である。FMRPはmRNA結合蛋白で、mRNAから蛋白への翻訳を制御するのでFMRPが無いと、FMRPが通常は制御している蛋白が無秩序に発現していることになる。

また、Fragile X syndrome においては、group1 代謝型グルタミン酸受容体(mGluRs)の活性異常が指摘されている。group1 mGluR活性化は、特定の蛋白翻訳を促進するが、その中にはFMRPによって翻訳制御されているものがある。さらにFragile X syndromeにおいては、mGluR結合蛋白Homerのうち、短いHomer1aとmGluRの結合が亢進しており、mGluRがグルタミン酸に結合しなくても(ある程度の)constitutive 活性を持っている事が報告されている。

このようにFragile X syndrome においては、group1 mGluRの機能亢進、さらにはmGluR下流蛋白の過剰発現が病態に関与していると想定されている。本論文では、Fmr1 KOマウスとH1a KOマウス、さらにはmGluR5(group1 mGluRの一つ)と長いHomer(H1a以外のHomer)とmGluR5との結合を阻害するペプチドを用いて、Fmr1 KOマウスのフェノタイプに、mGluR-H1a結合が関与しているか、検証した。さらにフェノタイプを誘発する、mGluRの下流シグナルについて検討した。