Casein Kinase 2 Regulates the NR2 Subunit Composition of Synaptic NMDA Receptors

Antonio Sanz-Clemente, Jose A. Matta, John T.R. Isaac, Katherine W. Roche

Neuron Sep.23, vol.67(6), p984-996, 2010

 大脳皮質視覚野の眼優位性可塑性の臨界期や、体性感覚野シナプス可塑性臨界期決定に関与していると考えられている、NR2B→2AへのNR2サブユニットスイッチは、活動依存的に起こると報告されているが、詳細なメカニズムに関しては不明であった。これまでHuganirラボより、カゼインキナーゼ2(CK2)がNR2Bのser1480をリン酸化して、2BとPSD-95やSAP102との結合を阻害することによって細胞膜2Bを減少させることが報告されいてるので、筆者らはCK2がシナプス部位NR2B→2Aスイッチに重要な働きをするという仮説を検証した結果、以下のことを明らかにした。

?CK2はNR2A(S1462)に比べて2B優位(S1480)にC末serをリン酸化する。

?CK2阻害すると、シナプスNR2A↓、シナプスNR2B↑

?2BとPSD-95との結合は2Bエンドサイトーシスには関係はなく、S1480リン酸化のみがエンドサイトーシスをトリガーする。

?海馬で2B→2Aがよく起こるサブユニット臨界期(生後11-15日)には、CK2発現が高く、S1480リン酸化が高い。

?S1480リン酸化はNMDA受容体活動に依存する。

?幼若期に見られる、LTP誘発刺激によるNR2B→2AスイッチはCK2によって生じる、

以上のことから、発達期に起こるNR2B→2Aスイッチは、NMDA受容体活動依存的に活性化されたCK2がNR2B S1480部位をリン酸化して、NR2Bがシナプス部位から無くなることによってNR2Aと置き換わることが明らかになった。