“Epac2 induces synapse remodeling and depression and its disease-associated forms alter spines.”

Kevin M Woolfrey, Deepak P Srivastava, Huzefa Photowala, Megumi Yamashita, Maria V Barbolina, Michael E Cahill, Zhong Xie, Kelly A Jones, Lawrence A Quilliam, Murali Prakriya & Peter Penzes

Nature neuroscience. 12, 1275-84, (2009)

スパイン形態の異常は様々な精神疾患で見られている。Rap-GEFとして知られているEpacには2つのタイプ(Epac1とEpac2)が知られており、特にEpac2は脳に豊富に存在し、また自閉症患者に(まれに)変異が見られる。著者らはEpac2特異的活性化試薬8-cptを用いた実験で、Epac2の活性化がスパインの収縮を起こすことを発見した。またEpac2の活性化はGluR2/3のスパインからの遊離を引き起こし、電気生理学的にもシナプス伝達阻害が確認された。Epac2のシグナル伝達経路を調べるためにいくつかの自閉症関連分子に注目し、薬理学的、生化学的実験を行いEpac2との関連を調べた。その結果、Epac2はドパミン受容体からのシグナルを受け、その結果GluR2のシナプスからの遊離等を引き起こすことが分かった。また、接着分子であるNeuroligin(1&3)と共にシナプス後部で複合体を形成することも判明した。さらに、網羅的実験で明らかになったEpac2の自閉症関連変異体を用いた実験により、ある種の自閉症はEpac2の一箇所のアミノ酸置換による機能阻害により引き起こされることが示唆された。