Benjamin R. Carlson, Krissey E. Lloyd, Allison Kruszewski, Il-Hwan Kim,1 Ramona M. Rodriguiz,Clifford Heindel, Marika Faytell, Serena M. Dudek, William C. Wetsel, and Scott H. Soderling. WRP/srGAP3 Facilitates the Initiation of Spine Developmentby an Inverse F-BAR Domain, and Its Loss Impairs Long-Term Memory“J Neurosci. 31, 2447?2460, (2011 ) .

概要

WRPはWAVE-1結合タンパク質の一つであり、膜結合ドメインであるF-BARドメインを有している。WAVE-1がスパイン密度に関与している事、ファミリータンパク質であるsrGAP2が膜を外側に突起様に伸ばす事から、WRPがスパイン形成に関与しているのではないかと考えられる。著者らははじめにWRPのF-BARドメインの性質を解析した。F-BAR(WRP)ドメインは細胞膜の構成成分であるphosphoinositideを含む脂質に特異的に結合し、またF-BARドメイン単独でフィロポディア様の突起を誘導できる事が分かった。ノックアウトマウスを用いたin vitroの実験では、WRPの欠失がスパイン形成に影響を及ぼす事を明らかにした。さらにTamoxifenを用いてノックアウト時期をコントロールした実験では、WRPはスパイン形成には関与しているが、スパインメンテナンスには関与していないらしいことが分かった。このマウスは行動実験でも記憶・学習に障害が出ている。本研究では、WRPがスパイン形成初期に膜に働くことによりスパイン形成を促進することを明らかにした。