Sabine Hellwig, Iris Hack, Janina Kowalski, Bianka Brunne, Joel Jarowyj, Andreas Unger, Hans H. Bock, Dirk Junghans, and Michael Frotscher

“Role for Reelin in Neurotransmitter Release”

J.Neurosci (2011), 31(7), 2352-2360

細胞外基質であるReelinは神経細胞のマイグレーションをコントロールしていることが既に知られている。ヒトで発達障害や滑脳症においてReelinの機能が障害されていることも知られている。また、Reelinは樹状突起の分化やスパイン形成にも関わっている。しかし、Reelinはシナプス後膜構造においての機能が分かってきているが、シナプス前終末においての機能がまだ不明である。このことから、筆者らはシナプス前終末構造でのReelinの役割があるかどうかを調べるために、WT miceとReelin欠乏したleeler miceを用いて、海馬CA1での終末ボタンの数を解析した。その結果、両群において終末ボタンの数は変化がなかったが、シナプス小胞の数が有意に増加していたことが分かった。よって筆者らはreeler miceにおいてシナプス小胞融合物(presynaptic vesicles fusion)が変化すると仮説を立てた。いくつかのシナプス小胞関連タンパク質を調べた中で伝達リリースを制御しているSNAP25がreeler miceで有意に減少していることが分かった。また、組換えしたReelinによってSNAP25の発現やシナプス小胞の数がレスキューされた。さらに、reeler miceにおいて PPF(paired-pulse facilitation)が有意に減少していた。これらのことから、Reelinはシナプス前終末リリースのメカニズムの調節において役割があることを示唆されてた。