フォーカルアドビージョンキナーゼ(FAK:接着斑キナーゼ)はコフィリンの活性を制御することでEphB受容体の下流に作用して、成熟な樹状突起スパインを維持している。

"Focal Adhesion Kinase Acts Downstream of EphB Receptors to Maintain Mature Dendritic Spines by Regulating Cofilin Activity"

Yang Shi, Crystal G. Pontrello, Kathryn A. DeFea, Louis F. Reichardt, and Iryna M. Ethell  J. Neurosci. 29(25), 8129-8142(2009)

樹上突起スパインは興奮性シナプスの後部の構造であり、F-アクチンの重合によって樹状突起上に高密度に形成される。またF-アクチンの重合によって、成熟な樹状突起スパインは維持される。著者たちは、アクチン切断蛋白質であるコフィリンの活性化を抑制することで、成熟な樹状突起スパインが安定化されることが分かり、それがEphB受容体-FAKの経路を通して成り立つことも分かった。今回、樹状突起スパインを維持する時のFAKの役割を調べるために、著者らはFAKノックアウトマウスの培養細胞(海馬ニューロン)DIV14とDIV21を用いた。FAK欠乏時の樹状突起スパインの形態とアクチンの再構築はFAKY397Fではなく、constitutively active FAKY397Eによってレスキューされたことで、樹状突起スパインの維持にFAKの活性化が重要であることが示唆された。また、dominant-negative EphB2のEphB受容体を抑制することで、FAKY397Eが破壊された。以上のことで著者たちは、FAKの機能として、成熟な樹状突起スパイン形成の促進とコフィリンの活性化に依存していることが考えられる。