EphB受容体は樹状突起上のフィロポディアの運動性とシナプス形成を結びつける。

EphB Receptor Couple Dendritic Filopodia Motility to Synapses Formation

Matthew S. Kayser, Mark J. Nolt, and Matthew B. Dalva

Neuron 59, 56-69, July 10, 2008

樹状突起上にあるフィロポディアはシナプス形成において重要な役割をしている。著者たちはその役割にフィロポディアの運動性が重要だと考えた。しかし、シナプス形成にその運動性が必要かどうかは明らかではない。本研究では、フィロポディアの運動性を制御しているEphB2に着目し、タイムラプスイメージングを使ってシナプス形成との関係を調べた。

まず著者たちは皮質ニューロンの分散培養とスライス培養において、EphB2の発現がフィロポディアの運動性に関係したことを示した。また異なる発達段階におけるEphB2のノックダウン実験などで、EphB2はシナプスの結合性と安定性の両方に必要であると示唆した。さらにEphB2はPAKを通してフィロポディアの運動性に関わっていることや、ephrinBと相互作用することでシナプスが形成されることが示された。これらの結果により、著者たちはシナプス形成に重要なEphB2の役割を二つ主張した。一つ目は、発達時期特異的なEphB2の性質がシナプス形成の決定要因である。二つ目は、EphB2はフィロポディアの運動性と細胞間の相互作用、シナプス形成の関連づけていることである。