軸索伸長を促進させるために、Shootin 1はアクチンretrogradeフロー・L1-CAMと相互に作用する。

Shootin1 interacts with actin retrograde flow and L1-CAM to promote axon outgrowth

Shimada T, Toriyama M, Uemura K, Kamiguchi H, Sugiura T, Watanabe N, and Inagaki J. Cell Biol. 181(5):817-829, June 2, 2008.

成長円錐のフィロポディアやラメリポディアにおいて、アクチンフィラメント(Fアクチン)はretrogradeフローを示している。成長円錐における、このFアクチンretrogradeフローと細胞接着分子(CAMs)との連結が軸索伸長やガイダンスのメカニズムの一つと考えられている。しかしながら、このFアクチンretrogradeフローとCAMsとの連結における分子メカニズムに関しては、明白ではない。

この論文では、Fアクチンretrogradeフローと軸索伸長における、新規脳特異的細胞内蛋白質shootin 1(Toriyama M, J.C.B. 175 (1):147-157, 2006)とL1-CAMとの相互作用を検証した。免疫染色や免疫沈降実験よりshootin1は軸索先端でFアクチンとL1-CAMに連結していることが明らかになった。 shootin 1発現抑制やshootin 1とL1-CAMとの相互作用を阻害させると、成長円錐におけるL1-CAMの動き・軸索伸長が抑制された。一方、shootin 1発現上昇は、L1-CAMの動き・軸索伸長を促進させた。

これらの結果は、軸索伸長におけるFアクチンretrogradeフローとCAMs連関モデル(クラッチモデル)を支持し、この分子メカニズムにshootin 1が深く関わっていることが明らかになった。

キーワード:shootin 1、L1-CAM、成長円錐、軸索伸長、アクチン

実験技術:蛍光スペックル顕微鏡、ビーズトラッキング、RNAi、蛍光免疫染色、免疫沈降