ダイナミック微小管が樹状突起スパインやシナプス可塑性を調節する。

“Dynamic Microtubules Regulate Dendritic Spine Morphology and Synaptic Plasticity”

Jaworski J, Kapitein LC, Gouveia SM, Dortland BR, Wulf PS, Grigoriev I, Camera P, Spangler SA, Di Stefano P, Demmers J, Krugers H, Defilippi P, Akhmanova A and Hoogenraad CC.

Neuron 61, 85-100 (2009)

樹状突起スパインは興奮性シナプス入力の主要な場であり、それらの形態変化は学習や記憶に関連付けられている。著者らは、この論文にて、微小管伸長端に集積する分子EB3によって修飾された重合プラス端が、スパイン内に入り、スパイン形態を調節していると報告している。また、EB3相互作用分子であるp140Cap/SNP (Srcチロシンキナーゼ調節分子) がスパインに局在し、シナプス後部肥厚に豊富に存在していることを明らかにしている。薬剤を用いた微小管ダイナミクスの阻害や、EB3またはp140Capのどちらか一方の発現抑制はアクチン細胞骨格の調節を介してスパインの形態変化を誘導した。EB3結合がスパイン内部のp140Cap集積に必要であること、さらに、p140CapがSrc基質やコータクチン(Fアクチン結合タンパク質)とに結合することを発見した。EB3が結合している微小管伸長端が、樹状突起スパインにて、p140Capの局在を調節し、コータクチンを制御し、アクチンダイナミクスを調節していることが著者らによって提唱され、ダイナミック微小管がスパイン形態変化やシナプス可塑性に関与していることが明らかになった。

キーワード:樹状突起スパイン、微小管、EB3、p140Cap、アクチン細胞骨格

実験技術:蛍光免疫染色、RNAi、海馬分散培養、全反射蛍光顕微鏡によるタイムラプスイメージング、FRAP、海馬スライス培養、PSD フラクション、pull-downアッセイ、マススペクトロ分析、電気生理(fEPSP記録)