Mg2+ block of Drosophila NMDA receptors is required for long-term memory formation and CREB-dependent gene expression

ショウジョウバエのNMDA受容体のMg2+ブロックは長期記憶の形成とCREB依存的な遺伝子発現に必要である。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0896627312003790

Miyashita T., Oda Y., Horiuchi J., Yin CPJ., Morimoto T., and Saito M Neuron 74:887-898, 2012

 

NMDA受容体はシナプス前終末とシナプス後膜が同時に活動するとMg2+ブロックが外れて活性化する。このような性質からNMDA受容体はシナプス前部と後部の神経活動を同時に検出するcoincidence detectorとして、学習行動や長期記憶の形成に重要であると考えられている。しかし、これまでの研究ではMg2+ブロックそのものの意義はわかっていなかった。そこで本研究ではMg2+ブロックのかからない変異NMDA受容体を発現するトランスジェニックバエの学習行動を解析した。その結果Mg2+ブロックは長期記憶形成には重要であるが連合学習には重要でないことがわかった。また長期記憶に依存して発現量の増加するシナプス蛋白がこのハエでは増加しなくなっており、CREB抑制因子が逆に増加していた。以上のことから、NMDA受容体がMg2+ブロックによって不活性化されていることで定常時のCREB抑制因子の発現が抑えられており、そのことが長期記憶を支えるCREB依存的な遺伝子発現に重要であると考えられる。