Takeshi K. Yokoyama, Daisuke Mochimaru, Koshi Murata, Hiroyuki Manabe, Ko Kobayakawa, Reiko Kobayakawa, Hitoshi Sakano, Kensaku Mori, Masahiro Yamaguchi
Elimination of adult-born neurons in the olfactory bulb is promoted during the postprandial period, Neuron, 71, 883-897 (2011)

マウス嗅球顆粒細胞のニューロン新生は成体でも行われている。嗅球で新生した細胞の内のおよそ半分が回路に組み込まれ、残りの半分が除去されることが分かっている。しかし、この細胞の整理がいつ行われているのかは不明であった。

筆者は本研究で新たに、この嗅球顆粒細胞の整理が食餌後に起きていることを発見した。

食事の時間を制限した状況下で、この顆粒細胞の整理は食事開始から数時間後に上昇した。

この時間は、食後の毛づくろい、休憩などを含むが、特に食後数十分の睡眠時に顆粒細胞死が顕著になった。匂いの入力により、新生顆粒細胞の生死が調節されていることは分かっているが、匂い入力を遮断すると食後睡眠時の細胞死が促進された。しかし、同条件下でこの時間帯以外では細胞死の促進は見られなかった。

 以上の結果から、嗅球顆粒細胞の整理は匂い入力依存的に食後の睡眠時に起きていることが明らかとなった。