Fei Wang, et al., “Bidirectional control of social hierarchy by synaptic efficacy in medial prefrontal cortex.” Science 334, 693 (2011)
内側前頭皮質のシナプス後電流を上下させるとマウスのヒエラルキーも上下する。
社会的なヒエラルキー(上下関係)は多くの種間で見られる。それは動物の生存、繁殖 などに影響を与えていると同時に、集団の中で無用な争いを避けるためにも機能している。 そこにはさまざまな要因が存在するが、神経回路メカニズムにおけるそれは不明である。 今回の実験では、ヒエラルキーを確認するための新しい実験系として、チューブを使った 一方方向テストを取り入れた。この実験により判別したヒエラルキーは、従来のヒエラルキー 決定実験の結果と一致した。更にヒエラルキー上位マウスは内側前頭前皮質(mPFC)のmEPSCが 下位マウスに比べて有意に大きかった。しかし、mPFCにおけるEPSCを操作し、これを上下 させると、それに伴いマウスのヒエラルキーも上下した。以上の実験から、ヒエラルキー決定 における神経回路的要因はmPFCにあることが示唆される。 |
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