セロトニン1A自己受容体のレベルはストレスや抗鬱剤反応への脆弱性を決定している

5-HT1A autoreceptor levels determine vulnerability to stress and response to antidepressants.

Richardson-Jones JW, Craige CP, Guiard BP, Stephen A, Metzger KL, Kung HF, Gardier AM, Dranovsky A,  David DJ, Beck SG, Hen R, Leonardo ED.Cell PRESS Neuron. 2010 Jan 14;65(1):40-52.

 

 鬱病患者は初期の抗鬱剤治療では効果が出ないことが多い。しかし、その原因は不明である。セロトニン1A受容体遺伝子のプロモーターに多型性があることがヒトの研究から分かっており、それが鬱病発症率増加や、治療効果軽減に関係している。今回私たちは、オートレセプターのレベルが高い(1A-High),低い(1A-Low)マウスを作るため、セロトニン1Aヘテロレセプターを避け、オートレセプターにのみ操作を加える新しい方法を用いる。

この操作は縫線核発火率には強く影響しているが、前脳基底部セロトニンレベルや葛藤不安障害には影響はない。しかしながら、1A-Lowマウスと比べると、1A-Highマウスは急性ストレスに対しての敏感な生理的反応、絶望状態の増加、及び抗鬱薬の行動反応への無効果などを示し、セロトニン1Aリスクアレルを持つ患者をモデリングしている。また、セロトニン1Aオートレセプターのレベルを抗鬱薬投与前に下げると、投薬効果が現れる。これらの結果はセロトニン1Aオートレセプターレベルとストレスへの耐性、及び抗鬱薬反応との間には必然的な関係があることを証明している。