J Neurosci.(2012, 32(48), 17401-17406
"Depression of Hippocampal Long-Term Potentiation Is Mediated through the Amylin Receptor"
Kimura R, Mactavish D, Yang J, Westaway D, Jhamandas JH

アルツハイマー病はアミロイドβが脳の認知や記憶の形成に関わる部位に蓄積していることが特徴的な疾患である。Amylin受容体はアミロイドβオリゴマーの受容体として作用し、アミロイドβの持つ細胞毒性の一端を担っていると考えられている。著者らはアミロイドβの神経毒性がAmylin受容体を介しているかを調べるために、Amylin受容体の阻害薬であるAC253が海馬におけるアミロイドβとhuman AmylinのLTP減弱効果を打ち消すことができるかどうかを検討した。さらに、アミロイド前駆体タンパク質を過剰発現するTgマウスを用いて、AC253投与によりLTP減弱を防ぐことができるかどうかも検討した。マウススライス培養においてアミロイドβとAmylinはLTPを抑制するが、AC253でAmylin受容体を阻害しておくと(前処理)、LTPの抑制を防ぐことができ、またTgマウスは野生型と比べてLTPが弱いが、AC253でAmylin受容体を阻害すると、正常なLTPを誘導することができた。これらの結果より、アミロイドβとAmylinはAmylin受容体を介してLTPの抑制をし、さらに、Amylin受容体をブロックすることでLTPが回復することから、Amylin受容体阻害剤はアルツハイマー病の有用な薬の候補となり得るとかんがえられる。