“Neuronal activity-induced Gadd45b promotes epigenetic DNA demethylation and adult neurogenesis.”

Dengke K. Ma, Mi-Hyeon Jang, Junjie U. Guo, Yasuji Kitabatake, Min-lin Chang, Nattapol Pow-anpongkul, Richard A. Flavell, Binfeng Lu, Guo-li Ming & Hongjun Song.

Science. 323, 1074-7, (2009)

哺乳類の脳は、成体海馬における神経活動依存的な神経新生を含め、多くの種類の神経可塑性を示す。しかし、成熟ニューロンの一過性の活性化が、どのようにして長期的な成体脳の神経新生を調節しているかは明らかでない。本研究では、著者らは、成熟海馬ニューロンにおける神経活動依存的な最初期遺伝子(IEG)としてGadd45bを同定した。そして、Gadd45bを欠損したマウスでは、神経活動依存的な神経前駆細胞の増殖と、新生ニューロンの樹状突起の成長に異常が見られた。その機構としては、Gadd45bは、神経活動依存的な特異的なプロモーターにおけるDNAの脱メチル化と、BDNFやFGFを含むそのプロモーターに対応する遺伝子の発現に必要である。以上のことからGadd45bは、成体脳における神経新生が外界から修飾される上で、神経回路の活動と後成的(epigenetic)なDNAの修飾や成熟ニューロンにおける分泌性因子の発現とを結びつける。