蛋白レベルから見た神経シナプスの発達と異常

 

白尾智明、 関野祐子 、高橋秀人

群馬大学大学院医学系研究科高次細胞機能学

 

371-8511群馬県前橋市昭和町3-39-22

 

要約

大脳皮質錐体細胞の樹状突起には、興奮性シナプス入力に特化した無数の棘突起スパインがある。脳発達障害や、てんかん、脆弱性X症候群の脳の大脳皮質錐体細胞の樹状突起スパインの数や形態は、正常な脳で見られるスパインのものとは明らかに異なっている。スパインは興奮性情報伝達処理の最小単位構造であり、記憶学種の基盤となるシナプス可塑性はこの単位構造で発生することから、スパイン形態の異常は脳の学習機能障害につながると考えられる。痴呆などのシナプス機能不全が、スパインの形成異常に起因すると考えるならば、スパイン形成を制御する蛋白分子の中に機能不全に関与する蛋白分子が見いだされる可能性は高い。すでに、いくつかの蛋白分子の発現変化がスパインの形態変化をもたらすことは明らかになっている。

スパイン頭部先端のシナプス結合部位には、グルタミン酸受容体とPSD-95に代表されるシナプス後部肥厚蛋白が集積している。また、スパイン頭部は高密度に集積したアクチン繊維と脳のアクチン結合蛋白ドレブリンが集積しており、樹状突起の幹とは全く異なった細胞骨格でできている。インビトロの実験では、これらのスパインに特徴的な蛋白の発現を変化させるとスパインの形態が変化することが知られている。実際、アルツハイマー病やダウン症においては、ドレブリン量の減少が著しく、スパイン形態が変化していることが推測される。

スパインの形態は、上述の特殊な階層構造により形成されているが、発達初期の神経細胞にはこの構造は見られない。これまでの研究で、シナプス前部の形成過程は、軸索と樹状突起の接触後まもなく起こることが報告されているが、スパイン形成に関しては、接触約1時間後にPSD-95の集積が受容体の集積に先行して起こることが報告されているだけで、それ以前にどのような構造変化が起こるのかは未だ不明である。我々は、スパインの細胞骨格蛋白ドレブリンに着目し、スパイン形成前に樹状突起に観察されるフィロポディアのアクチン細胞骨格を解析し、フィロポディア内でのドレブリン-アクチン複合体形成が、PSD-95の集積の前に起こっていることを明らかにし、また、ドレブリン-アクチン複合体形成が起こらないとPSD-95の集積が誘導されないことを証明した。

成熟した神経細胞でも学習に伴ったスパイン新生があることを考えると、ドレブリン-アクチン複合体の維持は、正常なシナプス機能維持と密接に関係すると思われる。ドレブリン-アクチン複合体形成の制御シグナルはまだ明らかではないが、そのシグナルを解明し、スパイン形成の全過程を明らかにすることは、スパインの再生しいては痴呆性脳障害の克服に直接的につながる問題であり、今後の研究の発展が期待される。

 

キーワード:樹状突起フィロポディア、スパイン、アクチン、ドレブリン、PDS-95、アルツハイマー病、ダウン症候群
 
はじめに

 神経シナプスの発達と異常については、古くから多くの形態学的な解析がなされてきたが、これを蛋白レベルで解析できるようになったのはごく最近である。それは、神経シナプスを構成する蛋白分子が同定され、その機能解析が急速に進んでいるからである。神経シナプスの発達と異常に関する蛋白レベルでの解析は、現在どこまで進んでいるのであろうか。そこで、興奮性シナプス後部である樹状突起スパインの形態と微細構造およびその構成蛋白を理解したうえで、実験的に誘導されるスパイン形態変化と、実際のヒト脳で明らかになっているスパイン形態異常やタンパク発現異常について解説する。そして、神経シナプスの発達と異常をタンパク分子レベルで解明するために、この後明らかにしなくてはならない分子過程を浮き彫りにする。

 

I. 興奮性シナプスの形態的発達とその微細構造

我々多細胞生物の細胞は、一個の独立した細胞であると同時にお互いに緊密な情報交換を行う細胞集団である器官を形成している。従って、器官における細胞間の情報連絡は非常に重要な意味を持っている。脳は、この細胞間情報交換が最も発達して、しかも最も高次な機能を持つようになった器官である。神経細胞間の結合部位はシナプスと呼ばれ、他の器官の細胞間結合が双方向的なものであるのと異なり、情報の送り手側と受け手側がそれぞれに高度に特殊化した構造をとっている。この構造は神経発生のごく初期にはまだ分化していないが、神経機能の発達に伴って徐々に完成していく。

GAPジャンクションから化学シナプスへの発達

脳においても、発達過程の未熟な神経細胞は隣り合う神経細胞同士の接触部分にあるギャップジャンクションという小さな孔を使って、膜電位変動を隣の神経細胞にそのまま伝える双方向の情報交換を行っている。この結合様式は電気シナプスと呼ばれ、未熟な神経細胞に特徴的な情報伝達様式である。このギャップジャンクションは非神経細胞にも観察できる構造であり、情報の受け手側と送り手側の構造的な分化は進んでいない。成熟した脳ではこの伝達様式はほとんど用いられず、主に神経軸索と樹状突起間にできる結合を使う全く違った様式により神経細胞同士が情報をやり取りする。成熟した神経細胞の結合部位は、送り手側と受け手側の構造が高度に特殊化している。この結合部位では神経軸索終末から放出される化学伝達物質を情報伝達に用いるので、化学シナプスといわれる。化学シナプスにおいては情報の送り手側は軸索内に形成され、「シナプス前部」と呼ばれている。中枢神経系では、軸索の末端部分だけにシナプス前部構造が作られる神経―筋型シナプスは例外的であり、軸索の途中に作られるエンパッサント型シナプスが一般的である。情報の受け手側である樹状突起では、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸による化学シナプスは、尖端樹状突起と基底樹状突起およびそこから枝分かれした複数の樹状突起上にある無数の小さな(約1 mm)スパイン(棘状突起)の先端部分に形成され、抑制性神経伝達物質であるGABAによる化学シナプスは、スパインの根本、樹状突起のシャフトさらに、神経細胞体の周辺部位に形成される。

スパインの形態変化と生理的意義

大脳皮質錐体細胞の典型的なスパインは、長さ1mm − mm、幅が0.5 mm − 1 mmほどの大きさで(図1A)、樹状突起100 mmあたりにスパインは50100個ほどある。したがって、大型の錐体細胞で長い樹状突起を複数本持つものでは、数千個ものスパインを持つ計算になる。スパインの形は様々で、頸部の長さや頭部の大きさで3つのタイプ、すなわち細長い頸部に小さな頭部をもつ通常型(thin type)、短い頸部と膨隆した頭部を持つキノコ型(mushroom type)、頸部を持たない隆起型(stubby type)に分類するのが一般的である(図1B)。ここで注意することは、このような形態分類は固定された標本でなされたものであり、実際のスパインは動的な構造であり形態も交互に変換している。

スパインが様々な特殊な形態をとることについて、スパインを発見したRamôn y Cajalは、神経細胞がスパインの伸縮により軸索との結合を変えて脳機能を制御していると想像した。ちょうどその100年後には、Crick (1982) がスパインはアクチンの働きで非常に速い収縮をしてシナプス伝達効率を変えるという仮説を提唱した。その後、スパインに関する生化学的研究が、スパインの特殊性を次々と明らかにしていった。スパインがなぜ必要かと言う点については、スパインは独立した生化学的なマイクロドメインとして機能しており、とりわけスパンネックはカルシウムイオンなどの代謝的な因子を遮蔽して、スパイン機能を個別に調節しやすくしているものと考えられてきた(Shepherd 1996)。しかしYuste等の最近の報告(Goldberg et al.,  2003)によればスパインのない神経細胞でもカルシウムのマイクロドメインができており、カルシウムイオンなどの代謝因子のマイクロドメイン維持のためにスパインが必須であるという考え方では、スパインの機能的存在意義を説明できない可能性が出てきた。

今のところ、スパインが形を変えることにより伝達効率を調節しているという証拠はない。しかし、スパインの形はグルタミン酸受容体の活動によって変化することは明らかとなった。さらに、スパイン形態変化はシナプス可塑性と関連があるらしい。たとえば、長期増強を誘発するとシナプス後部肥厚部分(PSD)とスパイン頭部が大きくなり(Desmond et al., 1986a; Toni et al., 2001) 、また、スパイン数も増える(Desmond et l. 1986b; Toni et al., 1999)。これらのことから、スパイン形態の可塑的変化は、学習・記憶によりもたらされたシナプスの可塑的変化を長期的に保持するために起こると考えられている。

スパインの微細構造と構成タンパク

 大きさも形も反応性も様々であるスパインに共通する電子顕微鏡レベルの微細構造の特徴は、シナプス後膜直下にシナプス後部肥厚(postsynaptic density;PSD )を持つことと、スパイン頭部はアクチン繊維が密集した細胞骨格で出来ていることである(図2A)。

錐体神経細胞のスパインの頭部には、シナプス後膜直下に高電子密度の構造体すなわちPSDとよばれる裏打ち構造を持つ非対称型のシナプス接合部分がある。ここには、シナプス後部膜にはイオン透過型グルタミン酸受容体と代謝型グルタミン酸受容体が密集しており、PSDのPSD-95に代表されるアンカーリングプロテインがそれらを互いにつなぎ止めている(図2B)。このように、スパインは興奮性伝達物質であるグルタミン酸をうけとるために特殊化した構造である。また、スパインにはアクチンが高密度集積していることが特徴である(LeBeux and Willemot, 1975; Matus et al. 1982; Fifkova and Delay, 1982)。図2Bの模式図に示したように、スパインはシナプス前部からのグルタミン酸信号を処理するために、グルタミン酸受容体、PSD、およびアクチン細胞骨格によりなる階層的な構造をしている。

ところで、神経細胞の細胞骨格は微小管・ニューロフィラメント・アクチンフィラメン トの3種類であることが知られているが、アクチンフィラメントは神経細胞のすべての部分に分布し、とりわけスパインには高密度に集積している。おもしろいことに、樹状突起の細胞骨格である微小管はスパインには入り込んでいない(Fifkova,1985)。このことから、スパインが樹状突起とは独立した構造であることがわかる。このようにスパインは特殊な細胞骨格を持つことで、ひとつのスパイン頭部の大きさがひとつの興奮性シナプス終末を受ける大きさに最適化することを可能にし、スパインが個々のシナプス入力を区別できるような仕組みを作り上げているのであろう。  

 

II. 痴呆性脳障害とシナプスの異常

個々のスパインは一つの興奮性シナプスの情報を処理する最小単位構造であり、記憶学習の基盤となるシナプス可塑性はこの単位構造で発生する。したがって、スパイン形態の異常は脳の学習機能を損なう可能性が高いと多くの研究者が考えている。

樹状突起スパインの形態異常

精神遅延の幼児脳の大脳皮質神経細胞では、樹状突起スパインが異常に長く細くなっており、正常脳にみられるようなキノコ型のスパインは消失する(Purupra,1974)(図3AB)。重篤な神経症状を示した幼児脳では樹状突起にたくさんの膨隆と細長いスパインが観察される(Purupra,1982)(図3C)。また、長い顔と大きな耳などの身体特徴と精神遅延や多動・注意障害・自閉などを伴う脆弱性X症候群は遺伝性の精神発達障害で、未熟な細長い形態をとる樹状突起スパインの数が増える(図3D)(Wisniewski, et al., 1991; Irwin, et al., 2000)。他にも、神経細胞の過剰興奮が主な症状であるてんかんの場合では、脳の一部に樹状突起スパインの消失が観察される(Swann, et al., 2000)などの報告があり、脳の機能障害とスパイン形成異常には深い関係がうかがわれる。

これらのことから、樹状突起スパイン形態そのものが直接高次機能と関係があるのではないかとの仮説が提唱されるようになってきている。スパインの形態は動的であり、その形態はある時間におけるスナップショットを見ているにすぎないが、スパインの形態や運動性の異常と高次神経機能の異常との相関関係は確実に存在するであろう。

蛋白レベルのスパイン形態異常

ススパインを構成する蛋白の発現量を実験的に変化させることで、スパイン形態が変化することが最近明らかにされてきた。スパイン形態変化を惹起する蛋白として、PSD関連分子、アクチン細胞骨格関連分子、接着分子などが注目を浴びている。

PSD関連蛋白としては、PSD-95の過剰発現で、スパインの形態は大きくなり、AMPA型グルタミン酸受容体のシナプス集積およびシナプス電流が増強することが報告されている(El-Husseini et al. 2000)。しかし、PSD-95ノックアウトマウスでは、スパインは正常の形に成熟していく(Migaud et al., 1998)ので、PSD-95はスパインの形成に必須なものというよりも、成熟スパインの基本構造を修飾する働きがあると考えられる。ShankHomerを同時に過剰発現すると、大きなスパインが形成される。また、幼弱な時期に過剰発現すると、スパイン成熟が促進されることがしられている(Sala et al., 2001)。またSPARの過剰発現でも、大きなスパインが形成される(Pak et al., 2001)

アクチン関連蛋白としては、ドレブリンを過剰発現させるとスパインが長くなり、頭部も大きなものが多くなる(Hayashi and Shirao, 1999)。また、LIMK-1のノックアウトマウスでは、スパインの成熟が抑制され、PSD構造が短小化し、スパインも細長いフィロポディア様になる(Meng et al.,2002)

接着分子カドヘリンのドミナントネガティブフォームをラットの培養海馬神経細胞に過剰発現させると、スパインの形態が長くなり、PSD95のスパイン集積やシナプス前終末でのシナプス小胞のリサイクリングが抑制される(Togashi et al. 2002)

 

脆弱性X症候群におけるFMRP1蛋白の異常

脆弱性X症候群では、すでに原因遺伝子が明らかにされており(Verkerk et al., 1991)、欠損するタンパクはFragile X mental retardation protein (FMRP)と呼ばれる。この蛋白はシナプス部位で作られており、欠損蛋白とシナプス機能異常との直接的な関係が注目されている。 Fragile X geneであるFmr1のノックアウトマウスで、患者の脳で観察されるのと同様なスパインの長さと密度の増加が観察された(Comery et al 1997)ことから、FMRPは樹状突起スパインを正常に成熟させ、シナプス可塑性をもたらす役割を担っていると考えられている。

アルツハイマー、ダウンにおけるドレブリン蛋白の異常

図5

 
我々が現在研究しているスパインのアクチン細胞骨格蛋白ドレブリン (Shirao and Sekino, 2001)に関しても、アルツハイマー病やダウン症で著しく減少することが明らかとなった。我々はアルツハイマー病患者の海馬をウェスタンブロッティングおよび免疫組織化学により解析した(Harigaya et al., 1996)(図4AB)。アルツハイマー病患者の海馬のドレブリン量は著しく減少し、ほとんど検出されていないが、シナプス小胞のマーカーであるシナプトフィジン量にはほとんど変化が認められなかった(図4A)。免疫組織化学で分布の変化を調べたところドレブリンはスパインからは消失し、通常では観察されない細胞体でのみわずかに観察された。それとは対照的にシナプス前部のマーカーであるシナプトフィジンの分布にはほとんど変化が認められなかった(図4B)。その後、ドレブリンの発現量が加齢そのものによっても減少することを明らかにする(図5)とともに、アルツハイマー病脳でのドレブリンの減少が加齢による減少を遙かに上回る(コントロールの老齢脳の19%)ことを示した(Hatanpaa et al. 1999)。最近我々以外にも、痴呆症とドレブリン量の減少に着目している研究グループが出てきた。ルベック等は、アルツハイマー病ばかりでなくダウン症でもドレブリンの顕著な減少があることを報告した(Shim and Lubec, 2002)。さらに金子等は、ダウン症発症に関連すると考えられる転写調節因子によってドレブリンの発現が調節されている可能性を報告している(Ooe et al., 2004)。これらの報告は、アルツハイマー病やダウン症候群などの痴呆の病態としてスパイン形態異常に起因するシナプス機能不全があることを示唆している。

 

III. スパイン形成

 痴呆などのシナプス機能不全が、スパインの形成異常に起因すると考えれば、スパイン形成を制御する蛋白分子の中にシナプス機能不全に関係する蛋白分子が見いだされる可能性があり、スパイン形成の分子メカニズムは一躍脚光を浴びるようになってきた。

シナプス形成とスパインの発達

 スパインの出来方には、大きく分けて3つのモデルがある。Harrisらは、樹状突起フィロポディアが軸索に接触してから退縮し、軸索を樹状突起に引き込んでひとたび樹状突起幹シナプスとなり、そこからスパインが成熟するというモデルを提唱した(Fiala et al 1998; Harris et al 1999)Craigらは、未熟な神経細胞では樹状突起幹シナプスにPSD-95クラスターが見られることから、軸索が樹状突起に接触してシナプスを作り、そこからスパインが生ずるというモデルを提唱した(Rao and Craig, 2000; Rao  et al., 1998)。これらのモデルに対して、Smithらは、フィロポディアが直接スパインに変化するとの考えを提唱した(Ziv and Smith, 1996; Smith, 1999; Jontes and Smith, 2000)

Friedman(2000)は、シナプス形成・成熟がどのような段階を踏んでどのような時間経過をたどるのかを調べた。シナプス形成は、軸索と樹状突起の接触から開始すると一般に考えられている。Friedmanらの報告によると、接触後10−25分後にシナプス前部でバスーンが集積し、20−35分後に機能的シナプス前アクティブゾーンの形成が起こり、それにやや遅れてシナプス小胞が集積する。このようにシナプス前部に関してはいくつかの初期変化がとらえられているが、シナプス後部の初期変化は全くとらえられていない。報告されているのは軸索と樹状突起の接触から60−70分後に、シナプス後部でPSD-95の集積が始まり、最後にグルタミン酸受容体がシナプス後膜に集積すると言うことだけである。スパイン形成機構の解明には、軸索と樹状突起の接触後からPSD-95の集積が始まるまでのシナプス後部変化に関する空白の1時間を解き明かすことが重要となっている。

軸索と最初に接触する可能性が高いのは樹状突起から伸び出しているフィロポディアである。従って、空白の1時間を解明するためにはこのフィロポディアに起こる現象を解析すればよいことになる。しかしながら、発達初期の段階で見られるフィロポディアのターンオーバーは非常に速く、大半はスパインにならずに消失する。そのため、フィロポディアはスパインの前駆体ではないとの立場をとるグループもある(Panzess et al., 2000; Portera-Cailliau et al., 2003)。我々は、形態から見てすべて同等と考えられるフィロポディアにも実は二種類あり、初期フィロポディアと既にスパインの前駆体となったものとに分けられることを最近発見した(Takahashi et al., 2003)。すなわち、発達初期の激しい動態を示すフィロポディアと、発達後期のスパイン前駆体フィロポディアとでは、形態は似ていても内在する状態が異なっていたのである。

 

アクチン結合蛋白ドレブリン

ドレブリンは、発生過程のニワトリ胚脳を二次元電気泳動法により系統的に解析した結果、脳内に時期特異的に発現する蛋白として同定された分子量約10万kDの酸性蛋白である(Shirao and Obata, 1985)。その後のクローニングの結果、実際の分子量はそれよりも小さく7万kDから8万kDであることがわかった(Kojima et al., 1988; Shirao et al., 1992; Toda et al., 1993)。ヒトのドレブリン遺伝子は第5染色体上にマップされ(Toda et al., 1993)、オールタナティブスプライシングによりドレブリンEembryonic type)とドレブリンAadult type)の2つの主要なアイソフォームが作り出される(Kojima et al., 1993)(図6A)。ドレブリンAは、生後7日ごろから発現がみられ、神経細胞特異的に発現する。このドレブリンAの発現上昇は、シナプス形成期に一致している(Hayashi et al. 1998)。ドレブリンEの発現は、この時期に減少する。成熟した脳では、ドレブリンAのみが発現する。ドレブリンは脳内における主要なアクチン結合蛋白のひとつであり(Asada et al., 1994; Hayashi, et al., 1999)、大人の脳内では、樹状突起スパインに限局している(Shirao and Obata, 1986; Hayashi et al., 1996)。ドレブリンはトロポミオシンやα‐アクチニンなど他のアクチン結合蛋白と競合的にアクチン線維への結合することによりアクチン細胞骨格の再構築を引き起こす(Shirao et al., 1994; Ishikawa et al., 1994)(図6B)。また、アクチンミオシンの相互作用を抑制することが知られている(Hayashi et al., 1996)。さらに、ドレブリンAを培養神経細胞に過剰発現させると、スパインの形態が変わることがわかっている(Hayashi and Shirao, 1999)(図6C)。

 したがって我々は、ドレブリンが発生過程でアクチン細胞骨格を変化させることで、スパインの形態的成熟を制御しているのではないかを考えて、低密度の海馬初代分散培養を用いて、詳細な検討をした(Takahashi et al., 2003)

 

ドレブリンの樹状突起フィロポディアでのクラスター形成

スパインがほとんどなくフィロポディアが多数見られる発生初期では、ドレブリンは神経細胞内の樹状突起内(特に膜直下)に、びまん性に分布している。フィロポディア内においても、アクチン線維とともにびまん性に分布している(非クラスター型フィロポディア;図7左)。一方、スパインが多数を占める成熟期では、ドレブリンはスパイン内で強い集積(クラスター形成)を示す(成熟スパイン;図7右)。では、ドレブリンのクラスター形成は、いつ、どこで起こるのだろうか?そこで、フィロポディアとスパインが半々に存在する発生中期におけるドレブリンとアクチン線維の分布を詳細に調べた。その結果、ドレブリンはアクチン線維とともに、培養1週目以降、フィロポディア内でクラスター形成することが明らかになった(クラスター型フィロポディア;図7中央)。さらに、このフィロポディア内のドレブリン‐アクチン線維の共クラスターは、シナプス小胞蛋白のひとつであるシナプシンのシナプス前部での集積部位に隣接していた。

つまり、ドレブリンは、発生過程でアクチン線維とともに、樹状突起フィロポディア内のシナプス部位結合に、クラスターを形成するのである。そこで、ドレブリンがびまん性に分布しているフィロポディアをdiffuse-type、 ドレブリンのクラスターをもつフィロポディアをcluster-typeと分類した。すると、培養7日目では、diffuse-type フィロポディアがフィロポディア全体の大多数を占めていたのに対して、培養14日目では、cluster-typeフィロポディアの数が有意に増加し、diffuse-typeとほぼ同数になっていた。スパインの数もこの間で大幅に増加することから、発生過程におけるスパインの成熟過程は、まず、diffuse-typeフィロポディアができ、それがcluster-typeフィロポディアへと変化し、最後にきのこ状や切り株状の成熟したスパインに変化するのでないかを考えた(図7下模式図)。

これを確かめるため、我々は、蛍光標識したドレブリンのリアルタイムイメージングを行った。その結果、diffuse-typeフィロポディアが、直接cluster-typeに変化したものが見られた。さらに、これらのフィロポディアのドレブリンクラスターは、シナプス前終末に隣接していた。また、フィロポディア内のドレブリンクラスターがスパイン頭部に置き換わる形で直接、cluster-typeフィロポディアがスパインへと変化する現象も捉えられた。

最後に、ドレブリンAの発現上昇がシナプス形成期に一致して起こることから、ドレブリンのフィロポディア内でのクラスター形成にドレブリンAの発現が必要かを、ドレブリンAの発現のみを抑制するアンチセンスを用いて調べた。アンチセンス処理により、cluster-typeフィロポディアの数は有意に減少し、スパインの形態形成が強く抑制された。

これらをまとめると、ドレブリンとアクチン線維の共クラスターの形成が、フィロポディア内のシナプス結合部位で生じることが、フィロポディアからスパインへの形態的成熟に関与しており、さらに、この共クラスターの形成にドレブリンAの発現上昇が必要であることが明らかとなった。

 

PSD-95のドレブリン依存的シナプス集積

最近、PSD関連蛋白のひとつであるPSD-95の樹状突起フィロポディアでのクラスター形成も、スパインの形態的成熟にかかわっていることが、リアルタイムイメージングの研究から明らかになった。そこで我々は、ドレブリンとPSD-95のシナプス集積が、フィロポディアとスパインで、どんな頻度で起こっているかを比較した。ドレブリンの場合、シナプスをもつフィロポディア及びスパインで、双方とも約9割の高頻度で、クラスターが観察された。一方、PSD-95の場合、スパインではドレブリンと同等の約9割という高頻度でクラスターが見られたのに対して、シナプスをもつフィロポディアではその6割弱しかクラスターが観察されなかった。観察した培養14日目では、基本的にフィロポディアからスパインへ形態はシフトすることから、ドレブリンのシナプス集積は、PSD-95よりも早く生じていることが示唆される。と同時に、ドレブリンのシナプス集積がPSD-95のシナプス集積を制御している可能性も示唆される。そこで次に、ドレブリンのシナプス集積がPSD-95のシナプス集積に及ぼす影響を調べた。

ドレブリンAに対するアンチセンスは、前述のように、発生過程におけるドレブリンとアクチン線維の共クラスター形成を強く抑制する。したがって、我々は、このアンチセンス処理によるPSD-95の細胞内分布の影響を調べた。すると、ドレブリンAの発現抑制により、PSD-95のシナプス部位でのクラスター形成が強く抑制された。この結果から、ドレブリンAの発現が抑制され、ドレブリンのシナプス集積が阻害されたために、PSD-95のシナプス集積も阻害されたという可能性が示唆される。そこで、さらにこの可能性の確証を得るために、アンチセンスでドレブリンAの発現を抑えている神経細胞に、蛍光標識したドレブリンAGFP-ドレブリンA)の発現遺伝子をマイクロインジュクション法で直接注入することで、ドレブリンA発現の回復実験を行った。注入したうちのいくつか(約5%)は、アンチセンス存在下にもかかわらずGFP-ドレブリンAを発現した。このGFP-ドレブリンAは、内因性のドレブリンと同様に、シナプス部位でクラスターを形成していた。そして、このような神経細胞では、PSD-95のシナプス集積がGFP-ドレブリンAのシナプス集積部位に一致して回復していたのである。

これらをまとめると、スパインの成熟過程において、ドレブリンとアクチン線維が、PSD-95よりも早く、フィロポディアのシナプス部位に集積し、このアクチン細胞骨格の変化に依存して、PSD-95のシナプス集積が生じることが明らかになった(図7下模式図中央)。

スパイン形成開始シグナルの探索

以上の研究成果により、スパイン形成の空白の1時間の一部が明かとなってきた。今後は軸索と樹状突起のファーストコンタクトからドレブリンアクチン複合体形成に至る分子メカニズムを明らかにすることにより、スパイン形成の全過程を明らかにすることとなるであろう。

ドレブリンアクチン複合体形成には神経特異的ドレブリンアイソフォーム(ドレブリンA)の発現上昇が必要であることと考えられている。ドレブリンAの発現上昇はドレブリン遺伝子から作られるmRNAのオールタナティブスプライシング機構の変化によって制御されている。このスプライシング機構を変化させるシグナルもスパイン形成開始シグナルの候補の一つと考えられる。また、成熟神経細胞におけるドレブリン-アクチン複合体維持には活動依存性が知られているので、発生過程におけるドレブリン-アクチン複合体形成発生過程におけるにも、膜受容体の活性化がシグナルとして働いているかもしれない。これらのシグナルの解明は、スパインの再生しいては痴呆性脳障害の克服に直接的につながる問題であり、今後の研究の発展が期待される。

 


 

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