Chairman's Note
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広報担当者とのやり取りに思うこと
助教の山崎先生が昨日プレスリリースをした。群馬大学の規則、AMEDの規則、我々の希望が絡み合って、いろいろ大変でしたが、何とかなりました。群馬大学やAMEDの広報担当の方たちがたいへん協力的であったので、何とかなりました。まずは、謝意を示したいと思います。
ところで、「プレスリリースはわかり易く書かいてください」と何度も言われています。私もその通りだと思うのですが、なかなかうまく書けないのは何故なのか自問自答し、先ほど群馬大学の広報担当の方にメールを送りました。いかに一部再掲します。
Tさん
いろいろご指摘ありがとうございます。
基礎的研究成果を易しく書くというのは大変勇気がいることでだと 思っています。論文を書くときは、通常、防御的( defensive)に書くことが必要ですが、プレスリリースの 場合はその鎧を脱がなくてはなりません。Y先生の場合は最初チ タン合金の鎧を2枚も3枚も着ている感じがしましたが、最終バー ジョンを見るとだいぶ踏み込んでくれたと思いました。(でもまだ 鎧を着てますね!)
日本の科学シーンを振り返ると、「正確に書く」 に特化していた時期がありましたが、それでは難しすぎて、 国民に対する直接的な説明責任(accountability) を果たしたことにならず、そのため、「わかり易く書く」 が推奨されてきました。しかし、 その結果あらぬ希望を抱いて裏切られた感情を持つ人が多くなった ため、「とはいっても実際にはすぐには役立たない」 と付け加えることを現在では推奨されている気がしてます。 本当は「難しくてわからないかもしれませんが、 この研究は将来大変役に立つ可能性があります。 私を信じてください」と言いたいところです。しかし、 STAP細胞の騒動をはじめとして、 科学者の信頼度は地に落ちています。そんな状況に加え、 特に医学生物学分野では、Natureに掲載された論文の70% が追試困難だと言われています。
「過去の群馬大学の基礎的研究成果をベースにして、 実際に新しい薬が市場されました」 というようなわかり易いプレスリリースを早く出せるようになりた いと思っています。
白尾智明