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教授ノート

科研費の申請時期

毎年、10月末は科研費の申請締め切りで、皆実験の手を止めて、申請書書きに忙しい。教授になりたての頃は、ただひたすら、自分のやりたいことを書いていた。自分のやりたいことを審査員もやりたいと思えば採用してくれるし、興味がなければ落ちるだけだと思っていた。採択率は30%前後だったがそれは自部と意見の合う審査員に会う確率だと思っていた。そういうわけで、自分にできることといえば、3~4個の異なった申請書を書き、あとは運を天に任せるだけであった。(もちろん、この考え方は間違っている。)若いころの私は、本当にやりたいことが山とあり、すべてを同時にやるわけにはいかないので、たまたま研究費がついたものを優先的にやってきたような気もする。その後、科研費の審査員等をやることが多くなり、自分と意見が合うから採用するということではなく、ちゃんとした申請書だから採用されるのだということがわかってきた。問題は、何がちゃんとした申請書かということである。最近、研究室の若い人たちの申請書に意見を求められることがある。そういう時は、どこがちゃんとしていないのかを、適切に指摘できる。かくして、当研究室の研究者たちは研究費を無事獲得している。しかし、自分の書く申請書はいつまでたってもちゃんとしたものとなっていないようだ。どんなにひどい申請書でも、それを書いているときは、最高のものに思えてしまう。特に最近実際の実験ができなくなってくると、簡単に夢の世界に入ってしまい、何でもできるような気がしてきてしまう。昨日提出した申請書も最高の研究計画だと思っているが、それはたぶん自分だけなのだろう。来年は若い人たちの意見を聞きながら、科研費を書くことにしようと思う。

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